肺がんの確定診断のための検査

 胸部X線検査やCT検査などで肺がんの疑いがあると診断された場合、確定するために「気管支鏡」による生検が行なわれることがあります。

ただし気管支鏡で確認できない部分もあるため、その場合は針生検など他の方法が選択されます。

肺がんの確定診断に使われる「気管支鏡」とは?

 多くのがんでは、腫瘍が悪性か良性かを確実に判断するために、最終的な検査として「生検」を行ないます。実際に組織の一部を採取して、顕微鏡で詳しく調べる検査です。

肺がんの場合も、胸部X線検査や喀痰細胞診、CT検査などで異常が疑われた場合、最後の確定診断として生検が検討されます。

その際、肺の組織を採取するための方法の一つが、気管支鏡です。先にカメラや器具の付いた、直径わずか5mmほどの細いファイバースコープで、それを気管の中を進ませて病変部まで到達させます。

そしてモニターで中の様子を観察しながら、病変の一部を採取し、それを顕微鏡で調べるという流れです。

ただし気管支鏡で直接観察できるのは、基本的に太い気管支だけで、奥のほうに枝分かれしている気管支は細すぎて気管支鏡を進ませることができません。

ですから肺の末梢部(肺野部)より、太い気管支の近くに発生する肺門部のがん(喫煙と関係の深い肺がん)のほうが、気管支鏡検査に向いています。

肺がんの気管支鏡検査の流れ

 気管支鏡検査を行なう前には、喉への麻酔や、咽頭反射を抑えるための筋肉注射など、いくつかの準備が必要です。

準備ができたら診察台の上に横になって、口もしくは鼻から気管支鏡を挿入し、病変の組織を採取します。検査時間はおよそ20〜30分です。

検査後は喉の麻酔が切れるまで、飲食はできません。また気管支鏡検査には、まれに出血や発熱、気胸などの合併症が起こるリスクがあるため、検査後は慎重に経過を観察します。

気管支鏡による生検の結果、腫瘍が悪性であると確定したら、治療法が検討されます。ただし気管支鏡は観察範囲に限界があるため、必ずしも悪性と確定できるとは限りません。

そのような場合は「CTガイド下針生検」など、体の表面から針を刺して組織を採取する方法がとられることもあります。一般的に針生検のほうが、気管支鏡による生検よりも合併症は高リスクです。

「要精密検査」は肺がん?

 肺がん検診で「要精密検査」という結果が出た場合、多くの人が「肺がんなのでは」と心配になります。

しかし胸部X線検査や喀痰細胞診でそのような結果が出ても、すべてが肺がんというわけではありませんので、まずは落ち着いて精密検査を受けましょう。

胸部X線検査の「要精密検査」は肺がん?

 肺がん検診として、もっとも広く実施されている「胸部X線検査」では、肺がんがあると白い影のように写ることはよく知られています。しかし白い影が写る原因は、実は肺がんだけではありません。

よくある例としては、肺の中を走る気管支や血管、肋骨、女性なら乳首などの陰影が写し出されているだけ、というパターンです。これらは病気でも何でもない、ただのまぎらわしい影ということになります。

また、昔に治療した結核の跡や、血管腫などの良性の腫瘍も白い影として写ることがあります。病気としては、肺炎も代表的です。

もちろん肺炎の場合は発熱などの症状が出ることが一般的ですが、X線写真だけでは、肺がんとの区別を確実につけることはできません。

このように、胸部X線検査で要精密検査といわれても、肺がんではないケースもたくさんあります。CTなどでより詳しく調べればおのずと分かることですので、すみやかに精密検査を受けるようにしましょう。

喀痰細胞診の「要精密検査」は肺がん?

 胸部X線検査に加えて、主に喫煙習慣のある人が受ける「喀痰細胞診」。この検査で要精密検査という結果が出ると、「痰にがん細胞が混じっていたんだ!」と思い、パニックになる人もいるかもしれません。

喀痰細胞診の結果は、A〜Eの5段階評価で表されます。

  • A…痰が入っておらず、唾液だけだったため再検査。
  • B…正常な細胞のみ。
  • C…中等度の異型扁平上皮細胞が見られるため、半年以内に再検査。
  • D…高度の異型扁平上皮細胞が見られるため、要精密検査。
  • E…悪性腫瘍細胞が見られるため、要精密検査。

上記の中でも、すぐに精密検査が必要とされるDとEは、全体のわずか1%とされています。これらに該当した場合、「自分は肺がんなのだ!」と不安になるのも仕方ありません。

しかしDとEの人が精密検査を受けても、実際に肺がんだったケースは全体の10%以下といわれています。

たとえば大阪肺癌集検研究班が発表したデータによると、1981〜1990年の10年間で要精密検査(D・E判定)となったのは 402例ですが、その中で肺がんと診断されたのはわずか28例(約7%)という結果が出ています。

つまり喀痰細胞診も、偽陽性が出る可能性は十分にあるということです。もちろん精密検査の結果、肺がんだったと診断される人もいます。

がんの宣告は誰にとってもつらいものですが、検査で発見できたことはむしろ幸運であり、見逃されたまま過ごすほうが手遅れになっていた可能性が高いというべきでしょう。

いずれにせよ、まずは落ち着いてすみやかに精密検査を受けることが大切です。

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