肺がんの胸部X線検査・喀痰細胞診のメリット・デメリット

 肺がん検診として、自治体や職場で広く実施されているのが「胸部X線検査」です。

もっとも手軽に受けられる肺がんの検査で、特に肺野部のがんの早期発見に大きく役立ちますが、一方で肺門部のがんは見つけにくいデメリットがあります。

肺がんの胸部X線検査のメリット

 胸部X線検査は、いわゆる「胸のレントゲン撮影」です。風邪や咳などの症状でもよく行なわれている、私たちにとって身近な検査でもあります。

胸部X線検査のメリットは、まず「特別な準備をする必要がなく、簡単に受けられる」ことです。

たとえば同じX線を使ったがん検診でも、胃がん(胃バリウム検査)の場合は前日からの食事制限が必要ですし、バリウムを飲むのを苦痛に感じる人もいますが、その点、胸部X線検査なら誰もが抵抗なく気軽に受けることができます。

また「肺野部のがんを早期発見しやすい」点も大きなメリットです。肺野部とは肺の入り口から遠い、肺の末梢部のことで、咳や痰などの症状が出にくい部分でもあります。

肺野部は胸部X線検査できれいに写りますので、症状のない早期の肺がんも見つけられる可能性が高いのです。肺野部のがんは、喫煙習慣のない女性に多いため、タバコを吸わない人も年に1度はぜひ受けておきましょう。

肺がんの胸部X線検査のデメリット

 胸部X線検査は肺野部の肺がんの早期発見に有効ですが、一方で、肺の入り口に近い「肺門部」のがんは見つけにくいデメリットがあります。肺門部のがんは、特に喫煙と深い関わりのあるがんです。

肺門部は、太い気管支や心臓、胸骨、横隔膜などさまざまな器官が重なり合っており、X線では隠れてしまう部分があります。がんがちょうど見やすい場所にあればいいのですが、そうでない場合は見逃されてしまう可能性があるのです。

ですから、特に喫煙習慣のある人は胸部X線検査に加えて、痰に混ざったがん細胞を調べる「喀痰細胞診」という検査も受けておくことをおすすめします。

もう1つのデメリットは、「ごく小さな肺がんは見つけにくい」ことです。これは肺野部のがんについても同じで、2センチ以下のがんは肋骨や血管などに隠れて見えにくいことがあります。

ごく小さながんを早期発見するためには、現在のところ、CT検査がもっとも有効です。喫煙習慣のある人や、受動喫煙の機会が多い人、職業的に肺がんが心配な人などは、CT検査も合わせて受けておくと安心につながります。

肺がんの喀痰細胞診のメリット・デメリット

 胸部X線検査と並んで、肺がんの集団検診で行なわれている検査が「喀痰細胞診」です。痰に混ざったがん細胞を調べるための検査で、特に肺門部にできるがんを見つけやすいメリットがあります。

肺がんの喀痰細胞診のメリット

 「喀痰(かくたん)細胞診」は、朝一番の痰を採取し、それを顕微鏡で調べてがん細胞が混じっていないかどうかを確認するための検査です。

集団検診では、特に喫煙指数の高い人や血痰の見られる人などを対象に、胸部X線検査と合わせて実施されています。喀痰細胞診の最大のメリットは、肺の入り口に近い「肺門部」のがんを発見しやすいことです。

肺門部は、胸部X線検査では全体像が写りにくく、骨や血管などに隠れてがんが見逃されてしまうこともありますが、喀痰細胞診を併用することで発見率が上がります。特に、喫煙習慣のある男性に多い「扁平上皮がん」を発見しやすい検査です。

また胸部X線検査と同様、検査が簡単というメリットもあります。起床後、専用の容器に痰を吐きだすだけで手軽に受けることができますので、郵送検診のキットとしても販売されています。

郵送検診なら、忙しくて病院に行けない人でも自宅で簡単に検査を受けることが可能です。

肺がんの喀痰細胞診のデメリット

 喀痰細胞診のデメリットとしては、「肺野部のがんを見つけにくいこと」が挙げられます。痰の中にがん細胞が混ざるのは、基本的に肺門部のがんだけですので、肺野部のがんを発見するためにも、必ず胸部X線検査と併用することが大切です。

また、喀痰細胞診では検査の精度を高めるために、3日分の痰を採取する必要がありますが、それが人によっては面倒に感じるかもしれません。特になかなか痰の出ない人は、吐き出すのに苦労する可能性もあります。

他には「必ずしも正確な判断が出るとは限らない」点もデメリットの一つです。これは多くの検査についていえることですが、喀痰細胞診でもたまたまがん細胞が混ざらなかったために、肺がんを見逃してしまう可能性はあります。

とはいえ、胸部X線検査と合わせて受けることで、肺がんの早期発見率が上がることは確実ですので、特にタバコを吸う人や過去に吸っていた人は、ぜひ受けるようにしましょう。

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