肺がん再発時の化学療法

肺がんが再発した場合、特に遠隔転移して発見された場合は、化学療法が治療の中心となります。

非小細胞がんか小細胞がんかによっても異なりますが、従来型の抗がん剤や、新しい分子標的薬などを使いながら、少しでも腫瘍を小さくすることを目指します。

再発した非小細胞がんの化学療法

非小細胞がんは全体の8割を占める、もっとも多いタイプの肺がんです。小細胞がんよりも進行が遅い一方、抗がん剤の効き目が良くないことでも知られるため、再発した場合の治療は難しい傾向が見られます。

非小細胞がんが再発した場合、基本的に化学療法の適応となるのは、初回治療で抗がん剤の効き目が良かったケース、もしくは初回治療が手術や放射線療法などの局所療法のみで、今回初めて抗がん剤を使うケースに限られます

このような場合は、抗がん剤で一定の効果が期待できます。ただし全身状態の良くない患者さんや、70歳以上などの高齢の患者さんの場合は、抗がん剤を使うことで体に負担がかかるため、あえて使用しないという選択をすることもあります。

再発した非小細胞がんに投与される抗がん剤としては、「ドセタキセル(商品名タキソテール)」の単剤投与が標準治療です。ただし奏効率(薬によって腫瘍が半分以下のサイズに縮小する確率)は約10%と、決して高くありません。

近年は、分子標的薬の「ゲフィチニブ(イレッサ)」や「エルロチニブ(タルセバ)」も多く使われ、それらの奏効率は70〜75%ともいわれています。

再発した小細胞がんの化学療法

小細胞がんは進行が速い一方、抗がん剤の感受性は高い肺がんです。

ただし非小細胞がんと同様、使用するためには全身状態がある程度、良好である必要があり、一般的には「ときに介助が必要でも、身のまわりのことはほとんど自分でできる状態」であることが一つの目安となります。

再発した小細胞がんに対しては、初回治療でよく効いた抗がん剤のほか、小細胞がんに有効とされる他の抗がん剤も視野に入れながら選択されます。現在、もっとも多く行なわれているのは、抗がん性抗生物質の「アムルビシン(カルセド)」の単剤投与です。

初回投与時の奏効率が75%という結果が出ており、再発時にも高い効果が期待されています。その他、「パクリタキセル(タキソール)」という抗がん剤も、治験が行なわれているところです。

抗がん剤が効かなくなり治療法がなくなったときは

再発した肺がんの治療を続ける中では、抗がん剤が効かなくなり、治療の手立てがなくなってしまうこともあります。その場合は、鎮痛剤などで苦痛を和らげながら、自分らしく充実した毎日を過ごすための「緩和ケア」が中心となります。

がん細胞は、抗がん剤に耐性を身につけてしまう

再発した肺がんの治療は、選択肢が限られてきます。特に遠隔転移するなどして、手術や放射線療法などの局所療法が難しくなった場合、基本的には化学療法の一択です。

化学療法は、抗がん剤を血液に乗せて全身に行き渡らせることのできる「全身療法」ですので、遠隔転移したがんに対しても、腫瘍を縮小させる効果が期待できます。

ただしがん細胞には、抗がん剤に対して耐性を身につける性質があります。ちょうど、細菌が抗生物質に耐性を身につけるのと一緒です。ですから以前に使用して効き目が良かった抗がん剤でも、2回目以降は効きが悪くなることも少なくありません。

そうして種類の異なる抗がん剤をどんどん使っていった結果、最終的に使える薬がなくなってしまうという状況につながることもあります。

患者さんにとっても家族にとっても、医師にとってもつらい状況ですが、そのような場合でも、体の苦痛を取り除く緩和ケアを受け続けることは可能です。

たとえば、つらい痛みに対してモルヒネなどの医療用麻薬を投与することで、体が楽になり、残された時間を有意義に使うことができます。

緩和ケアは、心に余裕を持たせるためにも必要な治療

緩和ケアというと、積極的な治療をあきらめて死に向かうだけのケアというイメージを持つ人も多いかもしれませんが、必ずしもそうではありません。

むしろ、効き目の悪い抗がん剤を使って重い副作用に苦しむよりも、前向きに治療について考えられる可能性が出てくるのです。

たとえば療養する場所や療養のしかたについても、体調が悪ければ自分で本当にいい方法を選択する余裕がなく、不本意な結果になってしまうかもしれません。

まずは適切な緩和ケアを受けて体を楽にすることで、心にゆとりが生まれ、ゆっくりと考える時間がもたらされるはずです。

また、人によっては「新しい治療法や抗がん剤などの臨床試験に参加する」という選択肢も考えられます。そうした治験に協力することは、今後の医学を進歩させるためにも意義あることであり、同時に自分自身の治癒につながる可能性も期待できます。

いずれにせよ、抗がん剤が効かなくなった後も緩和ケアを受け、体と心を楽にすることが、自分にとって最善の道を選ぶためにも大切なことなのです。

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