肺がんは転移しやすい癌

肺は、血管やリンパ節が多く張りめぐらされた臓器のため、がんができると他の臓器に転移しやすい性質があります。手術後であっても油断はできませんので、定期的なフォローアップ健診が大切です。

肺がんが転移する3つのルート

ある臓器にできたがんが、他の臓器や器官に移ることを「転移」といいます。特に、遠く離れた部位に移ることを「遠隔転移」といい、ほとんどのがんでは末期のステージです。

転移したがんは、基本的に手術や放射線療法などの局所的な治療の対象にならないため、全身療法である抗がん剤治療が主になります。がんが遠く離れた部位にまで転移するには、以下のようなルートがあります。

血行性転移

血管を通してがん細胞が遠くへ運ばれ、そこで腫瘍(転移巣)を作ってしまうのが血行性転移です。転移巣から、さらに他の臓器へがん細胞が運ばれることもあります。

肺は、血液の二酸化炭素を「肺胞」の毛細血管内で捨て、酸素を取り込んできれいにしてから心臓に送り返すという重要な働きを持つ臓器です。そのため数多くの毛細血管に包まれており、がんができると血行性転移しやすい特徴を持ちます。

リンパ行性転移

がん細胞がリンパ液に乗って遠くへ運ばれることを、「リンパ行性転移」といいます。

肺はリンパ節も多いため、血液のみならず、リンパを通してもがんが遠隔転移しやすい臓器です。そのため肺がんの手術では、病巣と一緒に、周辺のリンパ節も一緒に切除します(リンパ節郭清)。

通常、転移の仕方というと上記の2つが主ですが、肺がんの場合はさらにもう1つのルートが存在します。

経気道性転移

肺がんに見られる特殊な転移で、気道から呼吸を通してがん細胞が運ばれます。この場合は、肺の下葉にあったがんが、呼吸によって上葉や、もう片方の肺に移るなど、遠隔転移ではなく肺の中での転移です。

手術を受けた後も、肺がんの転移には注意が必要

肺がんに限らず、がんは一度転移すると治療が難しくなり、根治できる可能性が著しく低くなってしまいますので、早期発見が非常に重要です。

40歳を過ぎたら、喫煙習慣の有無に関わらず、年に1度の胸部X線検査を受けるようにし、喫煙者はさらに喀痰細胞診なども合わせて受けるようにしましょう。また肺がんの転移は、手術の後も注意が必要です。

肺がんの手術では、前述した通り、再発を防ぐために周辺のリンパ節を一緒に切除しますが、既にその先のリンパ節にがん細胞が移動していた場合、他の臓器への転移という形で再びがんが現れることもあります。

その場合、すぐに発見して治療を開始するためにも、術後の定期検診が大切です。医師の指示にしたがって、必ず検査を受けるようにしましょう。

肺がんが遠隔転移した場所別の症状

肺がんが遠隔転移した場合、転移先の部位によってさまざまな症状が現れる可能性があります。治療後は定期検診を必ず受けると同時に、体調の変化を見逃さないようにすることが大切です。

肺がんが遠隔転移しやすい場所はどこ?

肺は血管やリンパ管が多く集まった臓器のため、がん細胞が血液やリンパ液の流れに乗って、遠隔転移しやすい点が特徴です。

たとえ手術ですべてのがんを切除できたように見えても、その時点で既に血管やリンパ管などを通して他の部位にがん細胞が運ばれていた場合、それが時間とともに成長して、転移先に腫瘍を形成してしまいます。

肺がんが転移しやすい場所としては、脳・骨・肝臓・副腎などが代表的です。骨は、脊椎(首の骨・胸椎など)や大腿骨、胸骨、骨盤骨、二の腕の骨、頭がい骨などに特に転移しやすいとされています。

遠隔転移した場合、治療法は限られてきますが、できるかぎり早く発見することで、生存期間を長くできる可能性も高まります。肺がんの治療後は、全身の調子をよく観察し、転移の症状を見逃さないようにしましょう。

肺がんが遠隔転移した場所別の症状

肺がんが遠隔転移した場合、場所別に以下のような症状が出てくる可能性があります。

脳に転移した場合

頭痛や吐き気、マヒなどの症状を主として、転移した部位によって色々な症状が現れます。

けいれん・手足を動かしにくくなるなどの運動障害や、ろれつが回らない・言葉がしゃべりにくいなど言語障害、また人格の変化や、もの覚えが悪くなるなどの精神症状も出てくることがあります。

骨に転移した場合

転移先の部位に、持続的な痛みが生じることが一般的です。進行すると骨の破壊が進み、ちょっとしたことで折れてしまう「病的骨折」が起こることもあります。

肺がんによる骨転移は、体幹部分(脊椎や骨盤、肩関節、股関節など)がもっとも多いのですが、手足などの末梢部に起こることも少なくありません。

肝臓に転移した場合

肝臓に転移した病巣は、「転移性肝がん」とも呼ばれます。肝臓は我慢強い臓器のため、症状が出にくく、初期のころは明らかな症状はほとんどでません。

進行するにつれて黄疸(白目や皮膚が黄色くなる症状)や全身の倦怠感、腹水による腹部の膨満感などが現れるようになります。

副腎に転移した場合

腎臓の上にあり、ホルモンなどを分泌する副腎は、転移しても初期症状が少ないことで知られます。進行すると腹痛や背部痛などが見られるほか、出血による貧血症状が出てくることもあります。

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