肺がん手術ができなかったケース

 肺がんの手術では、実際に開胸してみても、肺を切除しないで終わることも稀にあります。事前検査で予測していた以上に病巣が広がっていた場合などは、安全な切除ができないと判断し、切除せずに傷口を縫合することもあるのです。

胸を開けたのに、肺がん手術ができなかったケース

 がんの手術前には、病巣の大きさや位置をできるだけ正確に把握するために、さまざまな事前検査が行なわれます。その上で、手術ができるかどうか、またできる場合はどの部分をどれだけ切除するのかを検討し、計画を立てます。

しかし実際は、「開けてみないと分からない」ことが多いのも事実です。

画像検査では写りにくい部位にがんが広がっていることもありますし、周りの組織にどれくらい浸潤しているかなども、実際に見てみないと分かりにくい場合がよくあります。やはり画像検査には限界があるということです。

肺がんの場合は、胸膜にがんが散らばったように広がる「胸膜播種」などは、がんがひとかたまりになっていないためCT検査でも写りにくく、実際に開胸してみて初めて分かるケースが少なくありません。

播種を手術で取り除くのはきわめて難しいですので、その場合は切除せずに手術を終えることになります。

がんの手術は、「根治が期待できる場合」のみに行なわれる

 実際に病巣を切除しないのに、体にメスを入れられることは、患者さんにとって非常につらいものです。「せっかく開けたのだから、せめて原発巣だけでも切除できないのか?」と思ってしまうのも仕方ありません。

しかし胸膜播種など、切除できない部位にまでがんが広がっている場合は、元の病巣だけを取り除いても、遠隔転移などの可能性はほとんど低くなりません。

むしろ肺の一部を切除することによって、呼吸機能が低下するなどのリスクのほうが大きくなってしまいますので、そのような場合は切除せずに傷口を閉じます。

がんの手術は、どのようなものであれ多かれ少なかれ合併症のリスクがありますし、術後の生活に何らかの支障をきたすことがほとんどです。

それでも行なうのは、手術をすることで根治が期待できるからであり、そうでない場合にリスクを冒してまで行なうことは適切ではありません。

もっとも、こういった結果になるのは、手術を予定していた患者さんのおよそ1%とされています。ただし、そのような可能性もあるということは手術前に説明を受けますので、頭に入れておくようにしましょう。

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