抗がん剤による副作用とその対処法

 従来型の抗がん剤は、がん細胞と同時に正常な細胞にも多少のダメージを与えてしまうため、副作用が出る場合があります。多くは一時的なものですので、薬の助けを借りながら上手に乗り切ることが大切です。

肺がんの抗がん剤による副作用と、対処法

 肺がんに使われる抗がん剤では、以下のような副作用が多く見られます。

吐き気・嘔吐

 抗がん剤の副作用の中でも、代表的なものの一つです。抗がん剤はがん細胞を死滅させる薬ですが、体にとっては異物と見なされ、自己防御のための反応として吐き気につながると考えられています。

肺がんに使用される抗がん剤の中では、特に「シスプラチン」が強い催吐性を持つ薬です。治療後24時間以内に、急激な吐き気や嘔吐が起こり、その後もゆるやかに症状が続きます。

ただし最近では、あらかじめ「デキサメタゾン」などの制吐剤を使用し、吐き気を予防することが一般的です。その後も症状に応じて薬が使われますので、ひと昔前に比べて吐き気を我慢することは少なくなっています。

下痢・便秘

 抗がん剤によって、胃腸の粘膜がダメージを受け、下痢や便秘につながることがあります。

下痢は、肺がんに使われる抗がん剤では「イリノテカン」でよく見られる副作用です。その場合は下痢止めの薬を処方して様子を見ます。

便秘は、肺がんに使われる抗がん剤では、「パクリタキセル」や「ビノレルビン」で起こりやすい副作用です。水分を多めにとり、軽い運動をするなど、通常の便秘対策と同じことが推奨されます。

しびれ

 抗がん剤によって神経がダメージを受け、手足のしびれや感覚異常が引き起こされることがあります。特に「イリノテカン」や「パクリタキセル」「ビノレルビン」などの、植物の成分を使用した抗がん剤でよく見られる副作用です。

手足のマッサージや運動などを行なうと同時に、症状に合った薬を使って対処しますので、皮膚の副作用が現れた場合はすみやかに医師に相談しましょう。

味覚の変化

 塩味のものを苦く感じたり、甘いものがいつも以上に甘く感じられたりするなど、抗がん剤の治療中は一時的に味覚が変化することがあります。

多くは治療後しばらく経てばもとに戻りますが、それまでの間は味つけを変えるなどして工夫することが大切です。

皮膚症状

 皮膚の細胞は分裂が活発なため、抗がん剤の影響を受けやすい部位です。その結果、かゆみや発疹などの副作用が出ることがあります。

患部を刺激すると、なお悪化してしまいますので、医師に相談の上、適切な薬を処方してもらったり、軽く冷やしたりするなどして、上手に乗り切るようにしましょう。

脱毛

 髪の毛を作る毛母細胞も分裂が活発なため、抗がん剤の影響を受けやすく、結果として脱毛につながります。治療後3〜6ヶ月後にはまた髪の毛が生えてきますが、精神的につらい副作用の一つです。

その間は、お気に入りの帽子やバンダナ、希望に応じてウィッグなどを活用しながら、できるだけ前向きに過ごすことが大切です。あくまで一時的なものと理解し、悲観的になりすぎないようにしましょう。

抗がん剤使用中の注意点

 肺がんで抗がん剤を使用している時には、副作用に応じていくつか生活上の注意点があります。医師の指示にしたがい、しっかりと自己管理して過ごすことが大切です。

抗がん剤使用中の注意点

 抗がん剤の治療中、気をつけるよう指示されることとしては、以下のようなものがあります。

感染症対策

 白血球が減少する「骨髄抑制」という副作用が出やすい抗がん剤では、感染症への対策が重要です。

異物と戦う白血球が減少することで、免疫力が低下し、様々な細菌に感染しやすくなります。普段なら問題にならないような細菌にも体が反応してしまう「日和見感染」を起こすこともあります。

人混みを避ける(特に冬場)、外出時はマスクを着用する、手洗いやうがいをこまめにするなど、治療中は感染症にかからないように気をつけることが大切です。

食欲不振対策

 抗がん剤の中には、胃腸の粘膜にダメージを与えるものもあり、吐き気や嘔吐、食欲不振などの副作用をもたらします。肺がんの治療では、特に「シスプラチン」で出やすい副作用の一つです。

このような場合は、少量ずつ数回に分けて食べる、麺類や豆腐などのなるべく喉ごしのいい柔らかいものや、好きなものを中心に食べるなどの工夫で、食欲不振を上手に乗り切る必要があります。

どうしても食事で十分な栄養がとれない場合は、病院で点滴を受けるのも一つの方法です。

禁煙や禁酒

 抗がん剤の治療中は、薬の効果を十分に発揮させるためにも、禁煙・禁酒が求められます。特にタバコは、抗がん剤の治療効果を低くするといわれています。

肺がんでは、がんの宣告を受けた時点できっぱりと禁煙できる人も多いのですが、どうしてもやめられない場合は医師に相談の上、専門の治療を受けましょう。もちろん抗がん剤の治療が終わった後も、禁煙を続けることが大切です。

仕事の調整

 がんの治療を受ける際は、仕事をどうするかという悩みも発生します。

最近では外来で受けられる抗がん剤治療も増えたため、仕事と両立できるケースもありますが、その場合も会社側にはしっかりと病気や治療について説明し、勤務時間や労働内容の調整に協力してもらうことが大切です。

また仕事が休みの日にはなるべくゆっくりと休養をとるなど、無理のないスタイルを確立するように努めましょう。

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