肺がんの治療法の選択方法

 肺がんの治療法は、基本的にステージ(病期)や組織型などによって選択されますが、患者さんの年齢や全身状態なども考慮に入れられます。患者さん本人が前向きに治療を受けるためにも、納得できるまで医師と相談することが大切です。

肺がんの治療法の選択方法

 肺がんの治療法は、まず「非小細胞がんか小細胞がんか」、そして「どれくらいがんが進展しているか(ステージ)」によって大体決まります。

T・U期の非小細胞がんの場合は外科手術、V期以降と小細胞がんの場合は、化学療法や放射線療法の選択となることが一般的です。

また外科手術だけで治療が済むのは、ごく初期の0期(上皮内新生物)とTA期までで、IB期以降になると、手術の後に抗がん剤を使う「術後補助化学療法」が行われます。

がんの手術では、目に見えないごく小さながん細胞を取り残してしまうことがあり、それがいずれ成長してがんが再発する可能性があります。術後補助化学療法は、とりきれなかったがん細胞を殺し、再発を防止する目的で行なわれる治療です。

また肺がんは、同じ非小細胞がんでも「腺がん」や「扁平上皮がん」、「大細胞がん」などに分かれ、それぞれ効果のある抗がん剤の種類なども違ってきます。そういった組織型も調べながら、もっとも効果的な治療法を検討していくことになります。

患者さんの年齢や全身状態も大切な情報に

 ステージや組織型のみならず、患者さんの年齢や体力なども、肺がんの治療法を決める上で重要です。

たとえばごく早期に発見できた肺がんで、手術の適応となる状態だったとしても、患者さんが高齢の場合はリスクの方が高いとして、放射線療法が選択されることもあります。

放射線療法は、病巣を狙い撃ちできますし、副作用も比較的少なく、体に優しい治療法だからです。

また心臓や腎臓、肝臓などの全身状態も見る必要があります。たとえば腎臓や肝臓などの代謝に関わる臓器が弱まっていると、抗がん剤の使用で重篤な副作用が出るリスクがあるため、使用を見送ることも考えなくてはいけません。

抗がん剤だけではなく、どんな治療であっても多少の副作用や後遺症リスクは付き物です。それらを事前に理解した上で、自分にとってメリットがある治療法を受けることが大切だといえます。

そのためにも、不明な点は繰り返し担当医に質問したり、疑問が残る場合は他院にセカンドオピニオンを求めたりするなどして、患者さん自身が納得した上で治療法を選択するようにしましょう。

外科療法

 肺がんの外科療法(外科手術)は、主にT・U期の非小細胞がんに対して行なわれます。胃や腸の手術と比べると、後遺症や合併症などのリスクも比較的少なく、安全性の高い手術です。

肺がんの外科療法の種類

 外科療法は、肺がん治療の中でも、もっとも完治が期待できる治療法になります。手術で病巣をきれいに摘出できれば、それだけで肺がんを克服したといえるからです。

肺がんの外科療法は、いくつかの種類に分かれます。

標準根治手術(肺葉切除術)

 がんの病巣がある肺葉を摘出する手術です。

肺は一つのかたまりではなく、右肺は「上葉・中葉・下葉」、左肺は「上葉・下葉」という肺葉に分かれており、がんの発生した部分の肺葉を丸ごと摘出しても、他の部分が肺の機能を補ってくれます。

またその際、再発を防ぐために、周囲のリンパ節も一緒に切除します。肺がんの外科手術では、もっとも標準的な手術法です。

縮小手術(部分切除)

 標準根治手術よりも、狭い範囲を切除する手術法です。主に、TA期でがんが2センチ以下というごく早期の場合や、高齢などで体力に不安がある場合などに行われます。

縮小手術は、病巣のある肺葉の一部を切除する「区域切除」と、病巣のみをくさび形(三角形)に切除する「くさび状切除」の2つに分かれます。

これらは、標準根治手術に比べて呼吸機能への影響が少なく、患者さんの体にとっては優しい手術といえますが、がん細胞をとりのこす可能性も高いため、再発のリスクには注意が必要です。

一側肺全摘除術

 片側の肺すべてを切除する、大がかりな手術です。太い血管や気管支にがんが広がっている場合など、肺葉の摘出だけではがん細胞を取り切れない場合に選択されます。

肺が1つ、まるまる失われますので、高齢やヘビースモーカーの患者さんなど、心肺機能が十分ではない場合には行われません。

肺がんの外科療法としては、現在、上記の3つの方法が主流です。患者さんの年齢や体力、がんの大きさや浸潤の程度などをしっかりと調べた上で、もっとも根治が期待できる手術方法が選択されます。

肺の摘出は、出血量も少なめですし、胃や腸などの消化器の手術と違って、食事も翌日からとることができるため、体へのダメージは比較的少ない手術です。

ただし呼吸機能の低下や、肺炎などの後遺症リスクはありますので、術後はしっかりと経過を観察することが大切です。

放射線療法

 手術のできない肺がんでは、放射線療法がよく行われます。X線やγ線などの放射線を、体の外から病巣に向かって照射し、がん細胞にダメージを与える治療法です。また、がんによる痛みを緩和するためにも使用されています。

肺がんの放射線療法

 放射線療法は、病巣を狙い撃ちする治療法ですので、全身に転移していない、V期までの肺がんが対象となります。ただしT期やU期であっても、高齢などで手術が難しい患者さんには、放射線療法が行われることがあります。

肺がんでは、特に抗がん剤と併用することが多く、両者をうまく組み合わせれば、進行肺がんでも病巣を縮小でき、長く生存できるケースも少なくありません。

また放射線療法は、治療が簡単で、副作用も比較的少なく、患者さんの負担が少ない治療法としても知られています。

1回につき5〜10分間の照射を、1日1〜2回、週5日、数週間繰り返すスケジュールが一般的で、場合によっては外来で受けることも可能です。

病巣を狙い撃ちするものの、その途中で正常な細胞にも多少のダメージは与えてしまうため、皮膚の炎症や胸焼け、吐き気などの副作用が出ることはあります。

ただし一般的に抗がん剤と比べると副作用は少ないことから、高齢などで体力の十分でない患者さんにも積極的に行われる治療です。

また放射線療法は、根治を目的とした治療のみならず、緩和療法としても用いられています。特に肺がんが脳や骨に転移した際、痛みを和らげるために実施されています。

肺がんの新しい放射線療法とは?

 放射線療法に使われる放射線は、X線やγ線が一般的ですが、近年、より効率的に病巣を狙い撃ちできるとして、「陽子線」や「重粒子線」などの粒子線が使われるケースも増えています。

これらは高エネルギーである上、通常の放射線と違って、どこでエネルギーをもっとも高くするかを設定しやすいことから、病巣のみに効果的にダメージを与えることが可能です。

現在は残念ながらまだ健康保険の適用になっておらず、受けるとすると300万近く自費でかかりますが、より安全性と有用性が確認されれば、今後保険治療となる可能性もあります。

特に肺がんは、粒子線治療の効果が高いがんの一つとされていますので、将来的に誰もが気軽に受けられるようになることが期待されます。

化学療法

 手術のできない進行肺がんでは、放射線療法と並んで、化学療法(抗がん剤)もよく実施されています。化学療法は全身治療ですので、放射線療法ができない、転移した肺がんに対しても行うことが可能です。

肺がんの化学療法

 化学療法は、抗がん剤を使った治療です。肺がんでは、V期までの非小細胞がんと、限局型の小細胞がんに対しては、放射線療法と組み合わせて行なうことが多く、それ以降になると化学療法が単独で行われます。

また手術のできる場合でも、目に見えないごく小さながん細胞を取り残してしまうリスクがあるため、「術後補助化学療法」として、手術の後に抗がん剤を投与することがあります。これによって、再発のリスクを減らすことが可能です。

肺がんの中でも、特に進行の速い小細胞がんは抗がん剤の効き目が良いことで知られており、高い効果が期待できます。

使われる薬剤としては、シスプラチンとエトポシドを併用した「PE療法」や、シスプラチンと塩酸イリノテカンを併用した「PI療法」、また非小細胞がんでは、シスプラチンとゲムシタビンを併用した「GC療法」などが有名です。

点滴タイプの抗がん剤では、多くの場合入院して治療を受けますが、最近は外来で受けられる内服薬タイプも増えてきています。

副作用の少ない「分子標的薬」も登場

 抗がん剤というと、副作用のイメージがつきものです。

もともと抗がん剤は、がん細胞の増殖の速さに着目して作られた薬で、分裂の活発な細胞に働きかける性質があるため、同じ活発さを持つ造血幹細胞や毛母細胞にもダメージを与えやすく、白血球の減少や脱毛、吐き気などの副作用につながります。

ただし最近では、あらかじめ制吐剤を点滴するなどして、副作用をできる限り予防するようになっていますので、以前よりも副作用は軽減されているといわれます。つらい症状がある場合は、遠慮なく医師に相談することが大切です。

また近年、「分子標的薬」という新しいタイプの抗がん剤も登場しています。従来型の抗がん剤と違い、がん細胞だけが持つ特異な物質に働きかけるため、副作用が少ない点が最大のメリットです。

肺がんでは「ベバシズマブ(商品名アバスチン)」や「ゲフィチニブ(商品名イレッサ)」、「エルロチニブ(商品名タルセバ)」などが国内で認可を受け、治療に役立てられています。

これらは従来型の抗がん剤と組み合わせて使われることもあり、肺がんの化学療法の選択肢を大きく広げています。今後も、より効果の高い分子標的薬が出てくる見込みです。

その他の治療法

 肺がんの標準治療は、外科手術・放射線療法・化学療法が3本柱ですが、その他の治療法としては、レーザーを使った「光線力学的治療法」が有名です。また手術の方式として、胸を大きく切開しない「胸腔鏡手術」もあります。

肺がんのレーザー治療(光線力学的治療法)

 肺がんを切らずに根治する方法として、レーザーを使った「光線力学的治療法(PDT)」が行われることがあります。

これは肺がんの中でも、太い気管支に発生する「中心型肺がん」で、かつステージ0期というごく早期の場合にのみ推奨される治療法です。現在、0期で発見された肺がんに対しては、多くの医療機関がPDTを行なっています。

PDTでは、まず「腫瘍親和性光感受性物質」という、光に反応する薬剤を静脈注射します。その約4時間後に、気管支鏡を使って病変部にレーザー照射を行うと、腫瘍のある部位がレーザー光に強く反応し、焼灼されるという仕組みです。

このように、PDTは気管支鏡を使って行なう治療ですので、気管支鏡で全貌を確認できる中心型肺がんのみ対象となります。外科手術よりも短時間で済み、体への負担も少ない点がメリットです。

また0期のがんであれば、治療効果も十分にあると考えられています。ただし光感受性物質の注射後は、日光に過敏になる副作用が出るため、約1週間は光を避けて過ごす必要があります。

肺がんの胸腔鏡手術

 肺がんの手術は、胸にメスを入れて行なうことが一般的ですが、近年、「胸腔鏡」を使った手術をとり入れる病院も増えています。

胸腔鏡は、腹腔鏡と同じく内視鏡の一つです。胸に2〜3ヵ所小さな穴を開け、そこからカメラや器具を入れて、モニターで中の様子を確認しながら手術を行ないます。

開胸するよりも体への負担が少なく、傷跡も小さく済むため、特に高齢の患者さんや、美容を気にする女性の患者さんにとってはメリットの大きい術式です。

ただし、胸腔鏡を使った手術では、モニターに映される限られた画像を見ながら手術器具を操作しなくてはいけないため、医師の熟練した技術が必要とされます。

がん細胞を取り残したり、リンパ節を十分に切除できなかったりするリスクもあるため、現段階ではあまり評価されていない方法です。

ただし、高齢などで体力の十分でない患者さんや、リンパ節に転移していない早期の肺がんに対しては、よく検討したうえで実施されることもあります。

がん保険の必要性が高い肺がん治療

肺がんは先進医療に指定されている重粒子線治療や陽子線治療などの適用があり、1回300万円以上しますので特にがん保険の必要性が高いがんです。

がん保険はがんになってからでは加入できませんので治療費が心配な方は、がんになる前に一度資料請求をして検討してみるとよいでしょう。

FPが選ぶおすすめがん保険人気ランキングの1位と2位

スポンサードリンク

スポンサードリンク

ページの一番上へ
サイトのTOPページへ