肺がん手術後の経過と患者の状態

 肺がんの手術後は、なるべく早くベッドから起き上がり、体を動かす訓練を行ないます。特に合併症などがなく経過が順調であれば、1週間もしないで退院できることもあります。

肺がんの手術後の経過

 肺がんの術後は、一時的に集中治療室に移されるものの、特に問題がなければ翌日には普通の病室に戻ります

そして、なるべく早く離床するよう指示されることが一般的です。肺がんの手術というと、術後も大変なイメージがありますが、実際は心肺機能を高めるためにも、できる範囲で動くことが大切になります。

術後は、お小水をとるためのバルーンや、肺から空気が漏れるのを防ぐための胸腔ドレーン、痛みを減らすための硬膜外麻酔(背中から入れる痛み止め)のカテーテルなどが挿入されています。

経過が順調であれば、手術の2〜3日後にはこれらが徐々に外れていきますので、自力で歩きやすくなります。

早い人では術後3日目にはもう、病院内を自由に動くことができますし、シャワーを浴びることも可能です。入院期間はおよそ1週間、病院によっては4日目で退院させるところもあります。

術後2〜4週間程度で、摘出した病変の病理検査が完了し、その結果によって追加の治療を検討することになります。がんが完全に取り切れたと判断された場合は治療完了、再発予防が必要と判断された場合は、抗がん剤や放射線療法などが行なわれます。

肺がん手術後の患者さんの状態

 肺がん手術後の患者さんが多く訴えるのは、呼吸のしにくさです。

患者さんの状態に合わせ、呼吸機能が十分温存できる範囲で摘出を行ないますが、やはり肺の一部が失われたことで、以前よりも息苦しさを感じる人が多く見られます。片肺をすべて摘出したような場合はなおさらです。

そのため術後は、腹式呼吸などの呼吸機能アップの訓練を受けます。またなるべく早く離床して体を動かし、筋肉をきたえることも、呼吸機能の改善に役立ちます。

術後の痛みに関しては、数日間、硬膜外麻酔を背中から入れているため、それほど感じない人がほとんどです。

ただし痛みの程度には個人差も大きく、人によっては術後数ヶ月経っても傷口がひきつるような痛みを感じることもあり、必要に応じて痛み止めが処方されます。

その他、肺炎をはじめとする合併症が起こる場合がありますので、特に術後1週間は慎重な経過観察が必要です。

肺がん手術による合併症は、ほとんどが入院期間内に起こるため、すみやかにケアを受けられますが、退院後も不安に感じることがあれば、すぐに専門の窓口に相談しましょう。

肺がん手術後の呼吸機能や痛みについて

 肺がん手術後は、息苦しさや傷口の痛みを訴える患者さんが多く見られます。特に息苦しさはQOLを大きく低下させますので、歩行訓練や腹式呼吸などのトレーニングで、呼吸機能をアップさせることが大切です。

肺がん手術後の呼吸機能

 肺がんの標準根治手術では、がんの発生した肺葉を摘出します。

肺葉は左右合わせて5つあるため、そのうち1つを摘出しても多くの場合は呼吸機能に問題はありませんが、肺の容量自体は減っていますので、やはり術前に比べると息苦しさを感じることはあります。

息切れや動悸、息を吸っても吸っても十分な呼吸ができていない感覚などの症状が代表的です。

呼吸は生命活動に直結するものですから、思うような呼吸ができないとパニックになり、このまま意識がなくなってしまうのではないかと不安になる患者さんも少なくありません。

そのような場合は抗不安薬なども活用しながら、腹式呼吸のトレーニングや歩行訓練を行ない、心肺機能を高めていきます。ほとんどの場合、こうしたリハビリによって呼吸機能を取り戻すことが可能です。

そのためにも、手術後はなるべく早くベッドから起き上がり、自力で歩くように指示されます。

肺がん手術後の痛み

 肺がんの手術では、背中を切開するため、傷口の痛みの心配もあります。ただし最近では、手術後も硬膜外麻酔を数日間、背中から注入しますので、術後の痛みは大きく軽減されており、手術翌日にはベッドから起き上がれる人もいるほどです。

ただし強い咳などをすると、傷口が痛みやすくなります。背中の傷は手で押さえにくいため、術後しばらくは胸を押さえながら咳をすると、痛みを軽くすることができます。

また肺がんの手術では、肺から空気が漏れないようにドレーンを挿入しているため、ドレーンを抜いた後、1〜2センチほどの小さな傷が残り、これが痛むこともあります。

胸腔鏡手術で空くような小さな傷で、時間の経過とともに自然にふさがりますので、大きな心配はありません。

いずれにせよ、肺がんの手術後の痛みは、手術当日がもっともつらく、日を追うごとに楽になっていくことが一般的です。痛みに対しては、段階に応じて鎮痛剤や神経ブロックが使用されますので、つらい場合は遠慮なく医師に相談しましょう。

肺がん手術後の息苦しさの原因とリハビリテーション

 肺がんの手術後は、息苦しさを感じる患者さんが多く見られます。ほとんどはトレーニングを行なうことで回復できますので、術後はなるべく早くベッドから起き上がってリハビリに励むことが大切です。

肺がん手術後の息苦しさの原因とは

 肺がんの標準根治手術では、病巣のある肺葉を摘出します。肺葉は右に3つ、左に2つありますので、そのうち1つが失われても、多くの場合は呼吸機能に大きな問題は生じません。

ただし肺の容量自体は減っていますし、特に術後は痛みや、痰の絡まりやすい状態なども手伝って、息苦しさを感じることがあります

「吸っても酸素が肺に入っていかない気がする」という感覚や、息切れ・動悸・冷や汗などの症状が代表的です。人によっては「このまま呼吸が止まってしまうのではないか」という恐怖感に襲われ、パニックになってしまうこともあります。

肺がんの手術にあたっては、十分な呼吸機能が残せるように、患者さんの年齢や体力、心肺機能などを総合的に判断した上で切除範囲を決定しますので、ほとんどの場合、リハビリさえ受ければ呼吸機能の回復は可能です。

精神的な不安感も、呼吸機能の低下に大きく影響するため、必要に応じて抗不安薬などを使いながらトレーニングを行ないます。

呼吸機能を取り戻すリハビリテーション

 肺がん手術後のリハビリテーションには、以下のようなものがあります。

呼吸リハビリテーション

 「腹式呼吸」と「深呼吸」が基本です。この呼吸法を身につけておくと、肺がん手術後の呼吸が楽に行なえますので、術前から練習させる病院が多く見られます。

仰向けに横になった状態で、お腹に手を置き、息を口からすべて吐き切ってから、鼻からゆっくりと吸い込みます。お腹がふくらんだら、口からゆっくりと息を吐き切り、これを繰り返します。

このような腹式呼吸による深呼吸をすると、気管支の傷口に響きませんし、呼吸のための筋肉もきたえられます。

筋力アップのための運動

 呼吸機能を取り戻すためには、全身の筋力をきたえることも重要です。そのためには、術後はできるだけ早くベッドから離れ、自分の足で歩く訓練をする必要があります。

こうすることで筋力をアップできるほか、痰も出しやすくなりますので、肺がん手術後の体には何かと有効です。合併症には注意しながら、無理のない範囲で体を動かしましょう。

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